最近の発車オーライネット

(総合交通誌2001年11月号寄稿文)

 お陰様で現在、発車オーライネットを導入いただいた事業者は五十社を超えている。
本当にありがたいことである。弊社ではWEB予約、コンビニ販売など、次々に新し
いITサービスを開始しているが、その中で感じることを寄稿した。

■“責任は自分が取る!”方々■

 高速バス予約ネットワーク“発車オーライネット”は、今でこそ五十社を超えるバ
ス事業者に採用いただき、手仕舞いのないことやWEB予約もコンビニ発券も特に目
新しいことではなくなったが、ここまで至るには、かなりの時間を要した。開発完了
の翌年から五年間で返済するIPA(情報処理振興事業協会)の資金も今春払い終わっ
ており、開発に着手して七年、最初の発想から数えると十年近い歳月が過ぎたことに
なる。
 今、改めて感謝しているのが、当時は高速バスに実績を持たない発車オーライネッ
トに対し“責任は自分が取る”と、リスクを負っていただいた方々である。当時は、
導入いただく会社側から見れば、実績を持たない弊社との取引に、稟議を書く担当者
の方をはじめ随分と苦労があったと思われる。
 そんな中で、発車オーライネットの構想を支援していただいた方々、コンビニ販売
など付加価値をさまざま付けていってくれた方々、“責任は自分が取る”と導入して
いただいた方々、本当にありがたいことだった。
 弊社はバスの情報システムサービスで食べている会社である。したがって当然、業
界全体の収益がよくならなければ弊社の収益もよくならない。高速バスの市場が大き
くなることでバス事業者も発展し、弊社も大きく成長させていただける。
 そこで、日頃から感じていることを寄稿した次第なのだが、実際にバス事業を行っ
ていない門外漢が何を言うのかという向きもあろうかと思うが、外からだからこそ感
じることに、傍目八目があるかもしれないと大目に見ていただければ幸いである。

■「バス“も”良い」ではなく、「バス“は”良い」へ■

 つい先だって東京陸運局から東京バス協会を通じて、高速バスの予約方法について
改善要望が出された。
 利用者の「夜行高速バス出発時間前に予約センターは閉じてしまい、利用者にとっ
て大変不便である。空席情報がないまま乗り場に行っても満席であれば無駄足になっ
てしまい、困る」との声を受けての改善要望である。氷山の一角であるたくさんの声
の一つがようやく関係官庁の部署に届けられたのだろう。
 バス会社にしてみると、ほぼ当たり前に近い現在の予約体制は、利用者や他の乗り
物から見た場合、考えられない体制でもある。電車や飛行機と違い、必ずしもターミ
ナル発着ではないことなど難しい面もあるが、利用者の利便を考えると、現行体制を
変える“何か”を検討する余地があるのではないかと感じる。
 規制緩和によって、どのような新たな発想が生まれるのか。バス業界のシステム化
に長く携っていると、自分の発想自体、固定化されていないか心配でもある。業界以
外の発想がこの業界に持ち込まれるというように、新しい発想を本当に楽しみにして
いる。
 緩和当初は、デフレを進ちょくさせるような発想もたくさん出るのだろう。しかし、
付加価値を増す、「バス“も”良い」ではなく、「バス“は”良い」という中身を作
り出してアピールし、競争し合うことによってバスがもっと認知される時代にしたい。
高速バスは優れた乗り物、移動手段だと言うことを広めたいと思っている。

■発車オーライネット誕生の必然性■

 発車オーライネット構想を当時の通産省の外郭団体であるIPA(情報処理振興事
業協会)に提案し、開発資金の手当てを受けた。これは、従来の高速バス予約が、あ
まり利便のよい予約ネットワークではなかったことによる。利用者から見れば、出発
日前日や当日は復路座席在庫は持っていないことなど想像だにしないし、手仕舞いと
いう仕組みを考慮して利用しようとする人などまずいない。
 しかし、ITネットワーク時代が始まり、これまで実現不可能と思われていたもの
でも、低コストで簡単・便利に使えるようになった。そして、ひとつのサービス向上
策として、利用者に提供できるようになった。
 そういう意味では、自社システムを相手会社にも利用してもらうといった方法や
(京阪バス・京王バス・西鉄・北海道中央バスなど)、第三者事業体に委託して共同
利用する(西武バスなど)といった方法をとっていたバス会社は先駆者だったと言え
る。

■空席照会・コンビニ販売ますます便利に■

 発車オーライネットを利用した高速バス空席照会サービスサイトである
【www.khobho.co.jp/bus/top.htm】の月間閲覧数は八月に二百万ページビューを超え
た。この空席照会は二十四時間サービスを提供中である。
 また、コンビニのMMK(マルチメディアキオスク)で乗車引換券の販売も開始し
ており、まずはローソンのロッピーで予約済の乗車引換券販売サービスが開始され、
その後この七月からはファミリーマートへも展開している。東京ではセブンイレブン
のセブンナビでの販売も開始されている。
 旅行代理店の店頭では取扱手数料として利用者から別途数百円を徴収している場合
が多いが、コンビニで購入する場合この費用は不要である。当然ながら販売時間も長
く、ローソン・ファミマでは二十四時間、セブンイレブンでは六時~二十三時の間で
ある(この違いは事前に予約済の購入か予約も発券も同時にできるかによる)。

■宝の山に目を向けニーズをつかむ■

 共同利用を前提としているWEBサイト【www.j-bus.co.jp】では、予約サービス
を提供しているバス事業者の数も増えてきた。WEBサイトで予約を行い、コンビニ
での発券という流れは完全に定番化している。
 このサイトでは掲示板をオープンにしており、多種多様な利用者の意見が書き込ま
れているので、ぜひ一度覗いていただきたい。また、直接たくさんのメールも寄せら
れる。メールや掲示板からは、供給する側の感覚ではない利用者の感覚がよく分かる。
WEBでの予約サービスを提供するだけで大きな進歩、という感覚が、すぐに大きな
勘違いだったと気づかされた。
 寄せられる意見は、発券はどこで行えばよいのか、コンビニでは発券できないのか
(コンビニ販売を採用するかどうかはバス事業者の判断)、キャンセル待ちは受け付
けないのかというように、飛行機や電車の提供するものと同等またはそれ以上のサー
ビスを求めていることが分かる。それが顕著に見てとれるのは、たとえば、ローソン
に行っても発券できないという趣旨の苦情が多い。
 いろいろな理由により、一つの事業者で全路線をWEB予約ローソン発券・セブン
イレブン発券のすべてに対応している事業者は無い。しかし利用者が、同じ事業者で
あれば他路線もできるだろうと想像することは当然だとも言える。つまり、バスには
バスの、各事業者には事業者の都合があるとしても、それはバス側の都合で、高速バ
スに気軽に乗りたいという人にとっては、飛行機や電車と比べて不便なサービスとい
う印象を抱かせてしまうということである。
 弊社ではメールアドレスを公開しており、直接システムとは関係のないバス運行な
どに関する苦情も寄せられる。したがって、バス事業者へはたくさんのメールが届く
ことは充分想像できるが、利用者からのメールは宝の山だと思う。
 それならと弊社では、「バスに対する苦情や提案をお寄せください」と掲載してみ
た。すると、これまでは予約や発券に関連する事柄がメインだったのが、それ以外の
意見が結構、寄せられる。ありがたい話である。
 これからは、利用者が求めるものを、放っておくわけにはいかない時代だ。弊社は
利用者が喜ぶ仕組みをシステム化し、バス事業者へ提案する。そのためには、利用者・
事業者双方にとって好ましい環境を築くために、利用者の意見は貴重な財産となる。
ホームページ上でメールアドレスを公開し、自社のサービスなどに対する目安箱とし
て利用する価値は、大いにあるのではないだろうか。

■バスとして標準的なサービスを■

 利用者にとって、利用したい路線ごとにこの路線はどんなルールなのだろう、と調
べなければならない。これはとても不便な話だ。
 せめて、発車オーライネットを予約システムとして活用しているというベースがあ
れば、何とか利便向上に貢献できるのではないかと思う。WEBやiモードで空席状
態の確認・予約ができ、どのコンビニでも乗車券を購入でき、エージェントの窓口に
行ってもスムーズに発券できる。こうした、利便向上のためのネットワークができる
だけ早く実現できるよう、弊社としてもがんばりたいと思っている。
 三共システム工房は、高速バスのシステム開発だけを行っているわけではない。ぜ
ひ、弊社サイトを訪れていただきたい。
http://www.khobho.co.jp/
http://www.j-bus.co.jp/